ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

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業というのはすごい概念だと思う。

子供に対して「悪いことをすると来世で悪いことがあるからやめろ」と戒めている事はなんとなく知っていたし、直感的にも分かりやすい。しかし業のメッセージはそれだけではないことに、自分は最近になってようやく気がついた。それは業という概念が、大人に対して「持って生まれた人生のポテンシャルが違うんだから仕方ないよ」と慰めてくれている側面だ。

人間努力で結構なことがどうにでもなることは否定しないが、どうにかなっている人間を目の当たりにすることは少ない。周りを見ても大抵、想定内の振り幅で幸せになったり不幸になったり、能力を発揮したり挫折したりしている。その振り幅の規定が業であり、自分のように大した業のない人間が業のたくさんある人を見ると「難儀な人だなあ」と思うに留まる。

それだけにやっぱり業から解き放たれたように(大抵作品を介して)見える人間を見ると、果てしなく羨ましく見える。そういう人は作品の中に業から解き放たれた自分を創造しているに過ぎないのかもしれないが、そうだとしてもその能力があることが羨ましく思えてくる。ちっちゃい業の中で充足感見出せない点を考えれば、自分も人一倍に業が深いことは確かだと思う。