ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

最後の妹

自分は下の妹と相容れない。こんな歳でそこまで仲良しな兄妹もそんなにいないことだろうし、どうでもいいことだけど、一応そのことを書いておきたい。自分一人で嫌いだと思っているよりも、書き起こした方が第三者の目線で見れると思うし、妹嫌い系の日記は以前も書いたような気がしないでもないが、改めて一回書いておいてこれで終わりにしたい。

といっても実際に「妹が嫌いだ」って思っていたのは10年以上前の時くらいだろう。それ以降は「こいつとは世界の在り方が違うんだな」と確信し、「あまり存在しない存在」として適度な太めの線を引いてお互いの平穏をなるべく崩さないように暮らしてきた。

まず妹は他人のものを盗む。自分が大事にしまっているゲームやオモチャを勝手に友達に貸していた。自分が失くしたと思い込み、忘れた頃に壊れた状態でなにもなかったように帰ってきていたりした。最初は妹のせいだと気付いていなかったのだけど、一度買ったばかりのゲームでそれをやられた時にさすがに気付き、「あれやあれもこいつの仕業だったのか」といくつか出てきて自分は当り散らした記憶がある。

それが決め手になって、その直後は「嫌いだ」と強く思っていた。しかし「電気をつけて消さない」「くちゃくちゃ物を食べる」「ドアを開けて閉めない」「笑い声が不愉快」「声のボリュームがおかしい」「考え方が薄い。浅い。」などの小さい特徴が分かっていくうちに、「この子からしたら自分がおかしく見えてるんじゃないだろうか。」「この子とは住む世界が違う」と思うようになっていった。

親が常に妹の味方についていたことも、その想いを確信に変えた。今思い返すと、自分の怒り方がきついから妹を守る為に妹サイドについていたんだろうとも推測できる。しかし当時の自分からしたらそんなことまで気は回らない。「壊したゲームの代金を弁償したい」といって親と妹が二人で自分に金を渡しにきたことがあったが、自分はそれも受け取らなかった。その出来事は自分の中で象徴的だった。「もう関係ないから気にしなくていいよ」と、妹との距離を、決定づける出来事だったんじゃないかと思う。そのあと結局親から無理矢理受け取らされたような気もするが、その辺はあまり記憶にない。

それ以降は妹を疑ったり、信じたりする必要がなくなった。誰かから伝言があれば伝えるし、不在時に電話があったなら教える。それくらいの関係になり非常に自分的には楽になった。妹の気持ちは知らないが、ややこしい兄に余計な気を使わなくて済むようになって向こうも楽になったんじゃないだろうか。

最近妹は就職に成功したらしい。そのことを自分は祖母から教えてもらった。祖母いわく「しばらく北海道で働いて、3、4年で地元で就職する」つもりらしい。自分はそのとき、「なんで地元に来る必要があるんだろう。再就職なんて大変だろうし、ずっと北海道にいればいいのに。」と言ったら祖母は冗談だと思ったのか笑っていたが、それは自分の素直な本心だった。