ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

風末

僕は地上で風が最後に着く場所で、辿り着くゴミを分別して暮らしている。世の中にどんな仕事があるのかいまいちよく知らないけど、こんなに僕に合っていて楽な仕事はないんじゃないかと日々思いながら風を浴びている。

僕から見える風景だけ見ると、もしかしたらダムだと思う人がほとんどかもしれない。灰色のコンクリートがそびえ立っている。

今日ももう日が暮れてきたのでそろそろ仕事を切り上げなきゃいけない。今日舞ってきたお金は千円札3枚だけだった。こんなに少ない日はあまりないのだけど。

舞い着く紙幣はやっぱり千円札が一番多い。手元が滑って舞って行ってしまった時、千円札だろうが一万円札だろうが、追いかける労力は一緒だ。そう考えると「千円札を追いかけるのは割に合わない」と考える人が多いのではないだろうか。舞ってくるたくさんの千円札を拾いながら、僕はいつもそんなことを考える。