ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

トゥデイのドリーム

僕は町の小さなパン屋で働いている。パン工房が店内からよく見えるパン屋だ。二階建ての小さなコテージという感じの趣なのだが、お客さんはいつもたくさん来ていて店内はいつも大賑わいだ。二階は屋上になっていて、カフェコーナーになっている。もちろんそこもいつもたくさんの人がいるのである。

しかし今日の賑わい方はいつもよりもさらにすごい感じがする。近くでなにかイベントでもやっているんだろうか。このパン屋はいつも人でいっぱいだから、僕は人混みには慣れているつもりだった。そんな僕ですら今日は窮屈に感じるのである。ある一箇所に留まろうとしても、人の圧で押し出されて、留まれないような感じだ。非常に居心地が悪く感じるのは僕だけなのだろうか。

しかし考えてみると、普段もそれほど居心地はよかったのだろうか。程度の差こそあるとはいえ、いつもだってその辺のお店に比べたら人口密度は高いのがこのパン屋だ。普段から我慢していたのが、僕のなかで限界に達しただけなんではなかろうか。

そんなことを考えながら、僕は人を押し分けて二階のカフェコーナーに行き、注文のあった飲み物を届けてきた。ここからまた僕は人を押し分けて工房へ帰らなければならない。

北西にある階段へ向かいたいのに、人の圧に押されて僕はどんどん真逆の柵へ追いやられてしまった。今日の混み方はやっぱり異常だ。僕は柵をまたがり、建物の脇の塀を伝って外に降り、トレーを塀に立てかけて、今日は先に帰ることにした。