ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

快楽のリスク

コーヒーを飲みたくなる衝動は突然だ。眠い時よりもむしろ目が覚めてノリノリの時に飲みたくなるような気もする。したがって深夜にコーヒーが飲みたくなることもしばしばある。しかし深夜のコーヒーは背徳感を伴うものだ。明日までに仕上げなければいけない仕事など、今の自分には存在し得ない。自分の一時の快楽のために、その後のあるべき時間の睡眠を代償にする行為でしかないのだ。しかしそういう時に飲むコーヒーは期待を裏切らない。「あー、やっぱりやめておけばよかった」とはならないものなのだ。それが分かっているだけに、この誘惑は大きいり

 自分は缶のブラックのコーヒーを飲む時、飲み干すとき、九割飲んで残り一割を一思いに飲むとき、「この一口を飲んだら眠れなくなるぞ。今までの分はセーフだが、これ飲んじゃったら眠れなくなるぞ。」と思う時がしばしばある。一人でふざけているわけではなく、自然とそういう気がしてくるのだ。毎回結局飲み干すわけだが、自分の罪を小さくするためのおまじないのようなものなんじゃないだろうか。「飲み始めた自分」の罪を見ないフリして、「残りを飲んじゃった自分」に全てをなすりつけている行為なんじゃないだろうか。そんな風に、たった今コーヒーの缶を捨てながら思った。