ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

腸がこぼれる

なんでか分からないが下腹部右側が裂け、手で押さえていないと腸がこぼれる格好になってしまった。腸には傷がなく痛みがないのが不幸中の幸いだが、このままで生活するのはどう考えても不便だ。押さえる為に片手が常に塞がってしまう。

両手を使う時、例えば財布を開けたい時なんかは仰向けに寝そべらなければそれすら叶わない。不便で仕方ないし、うっかり腸がこぼれ落ちてしまったら大変なので病院には行こうと思う。現に最初に裂けたとき少しこぼれ落ちたのだが、生命が外に出て行くような感覚に陥った。あれは軽いトラウマだ。その時は急いで押さえてなんとか中に納めることができたが、次こぼれてしまったときに上手く納めることができる自信はない。腸がどんな仕組みになっているのか知らないので確かなことは分からないが、全部こぼれ出たら死ぬと思う。その時そう感じたのだ。

医者に行けばいいとは思うのだけど自分でなんとか出来ないものなのだろうか。私はついついこういう事を思ってしまいがちで、思いついてしまったら試さずにはいられない性質である。しかしさすがに自分の皮膚でそんな実験をする気にはなれないので、タオルを持ってきて、それを皮膚に見立てて両端を糸で縫い合わせてみようと思いついた。

仰向けに寝そべって腸がこぼれ落ちないようにしながら「こうすればいいんじゃないか」と思うやり方で縫ってみたところ、これがなんとそれっぽくなったではないか。なんとなくでやり始めたのに一発で出来た。特殊メイクとかで縫い合わされた皮膚が表現されている時の見た目って大体こんな感じだ。私は満足し、裁縫セットを片付け、しっかりお腹を押さえ、病院に出かけることにした。