ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

ゆめ日記

さきほど僕が歩いている土手の下を覗いてみたら大きめの蛇が這っていた。近付くわけなんてないが、おそらく僕はあれに勝てないだろう。あの堂々とした這いぶりからして、毒とかの勝算を持っているに違いない。

人間に出会えることに期待なんてしていないんだから野生の動物もいなくなってくれよ。なんて理屈の通らないわがままが脳に浮かび続ける。生きて帰れないとかそんな極端な話ではないだろうけど、なんでみんな外に出かけないのかよく分かった。ここでは死がしっかりとした存在感を発揮している。

 

「どんな動物に出くわしたら一発で詰むだろうか」

頭の中で考えるのはそればかりであったが、いよいよ面倒臭そうな動物に僕は遭遇した。

 犬、たぶん犬だ。白くて丸っこくて枕くらいの大きさで、確実に僕に敵意を抱いている。しかし噛もうとはしてこず、ひたすら突進してくる。僕がかわすとなぜか土手の下を回り込んで、また僕から見た土手の前方に戻ってから突進してくる。それが、2匹いる。

わからないのだが、多分こいつらの突進が直撃しても別に死にはしないと思う。ただこいつらの僕に対する敵意の明確さにはたじろぐ。何か彼らにしただろうか。それと、次々と突進してくる為、なかなか落ち着いて「一旦作戦会議」という状態にはさせてくれない。僕もにわかに疲れてきたので、結局泥臭く戦うことにした。

 

突進してくる犬の脇腹をすれ違い際に蹴飛ばすのは思った以上に難しい技だった。しかし5回目くらいのチャンスで僕は成功させた。やはり生きている犬だけあって思っていたよりは重く、思っていたよりも飛ばなかった。しかし相手コンビの戦意を無くす程度の効果はしっかりあったらしく、僕は突進の千本ノックから解放された。

「もしかしたら案外野生の世界でも生きていけるのかもしれない」本心からは思ってもないことを、僕は1人で歩きながら考えていた。