ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

人間ごっこ

なぜ自分は芸術が好きなのだろうかと考えた結果、優れた(と自分が感じる)芸術が優れた人間ごっこだからという気がした。

自分は人間ごっこをしている。自分の意志、欲望、本音に従って生きたら、多分自分は人間社会で生きていくことはできない(そしてそういう人は決して少なくないと思う)。だから社会にギリギリでもしがみつくため、人間ごっこをしている。なんでこんなことを言うのか分からない。こんな効率が悪くて意味のないことをする理由がわからない。そういうことを分からないままやっている。そしてそれはある程度自分を人間として社会に認めさせていると思う(ただしあくまでギリギリである)。

優れた芸術は人生を表している。人生の全てを表してはいないが、人生の大事な部分を表しているかのように強く他者に思わせることに成功している。そういう意味で、人間ごっこの一種の到達点である。

自分は人間ごっこをしなきゃならないことに悲観してはいない。程度の差こそあれど皆やってることなのだろうとボンヤリ思いながら生きている。性格的に、自分には人間ごっこを辞める度胸すらもない。なので自分は芸術に自分の核を求める。脆弱な自分を補強する強い人間ごっこは明日の自分を支えてくれる。