ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

スピーチ

私のように世の中に対して厳しい視線を送る人間がなぜこのような体型をしているか。要するに、自分を律することができていないのではないかという疑問がごく一部の世論として存在するようなので、本日はそれについて考察しお答えしたいと思う。

考察という表現をするとあたかも私が理解できていなかったことだという印象を与えてしまうかもしれないが、このことは私の中では結論が出ている。しかるに当たり前のことすぎて逆に推敲したことがなかったというのが正確であろうか。私はなにか思想があって「こういう体型になろう」と思ったことはなく、世間に疑問を感じ、世の中の一員だった自分から脱し始めるにつれて、自然とこのように肥えふとり始めた。

結論から言うとだね。世間というのは私のノドにいたのだよ。世間を信用できなくなり懐疑的になった私は、自分の中にスパイのように存在する社会の存在を暴き出そうとしていた。いつものように夕食を食べて終えかけているときにそれは突然見つかった。ノドが私の意思を離れて「それ以上食べると体によくないぞ。塩分も糖分も油分も摂取しすぎなんじゃないか」と説教を垂れていることに気が付いたのだよ。

ここまで聞いて私の話に違和感を感じた人がいるのならこれからも幸せに暮らしていって欲しいと心から願う。なぜなら私は私の味方をかき集めて新たな小さい社会を築き上げることなんてこれっぽっちも願ってはいないからだ。私はここ何十年もの間、規則正しく三食とった日なんて一日もないということを断言できる。意地を張ってズラした食生活をしていたわけではない。私は私に合った生活というものに気付けたというだけなのだ。私が食べるという自体はあまり好きではないことも付け加えておこうと思う。食べることは戦いだ。私は社会に負けるわけにはいかないのだ。