ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

血の力

祖母を見ていると自分と血が繋がっているのを実感する瞬間がときどきある。最近祖母は風邪をひいているらしく、病人アピールがすごい。しかし「風邪ひいた」と言いながら畑仕事をし続ける。たとえばそれをしなければ野菜の命が終わるような仕事なら百歩譲ってまだわかるが、別にやらなくてもいい仕事だし、経験が必要なわけでもないので頼まれたら自分が代わりにやることだってできる。しかしそんな仕事をわざわざマスクをしながらやり、基本的に外にいる。そのくせして「歳をすると風邪が治りにくくなる。」とのたまっている。自分はどう考えてもちゃんとゆっくり寝ていないから治りが遅くなっているんじゃないかと思うが、本人は養生している気は一切ないらしい。

そんな姿を見ていてどこにシンパシーを感じるのかといえば、自分の体調が分からないところである。どこが異常で、なんで異常なのかが分からない。言い換えれば自分の体が何を求めているのかがよく分からないということでもあると思う。自分にもそういう兆候があることは十分に理解している。たとえば寒いとき、自分の体が寒がっていることがいまいち分かっていないときなどがあるが、そういうことなんじゃないかと思っている。

そういう人は他人に言われないとなかなか行動を改めることができない。そこまで自分は自覚しているので、祖母にも「寝たれば治るよ。家で寝てなよ。」と言う。しかし優しくそう言っても、祖母の口から返ってくるのは毎回謎の憎まれ口だ。血が繋がっているはずなのだが、なぜそういうタイミングで憎まれ口を叩くのか自分には一切理解ができない。