ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

たいやき

近所のたい焼き屋のおっさんが自分は嫌いだ。細々したことが重なって嫌いになった。しかしちょっとした接点があって時々関わらないといけないし、祖母が買ってきたりするので、そのおっさんのたい焼きを食う機会も時折ある。これからもそのおっさんがその店で働いている限りちょこちょこ関わっていかないと思うと、実際問題別にそれほどではないが少し憂鬱だ。

坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとはよく言ったもので、たい焼き屋のおっさんの人格が気に入らないとそのおっさんの作るたい焼きにも批判的な視線を送ってしまう。おっさんが来る前はお姉さんが働いていたのだが、そのお姉さんのたい焼きは何も気になることはなかった。しかしおっさんに腹が立ち出すとおっさんのたい焼きの特徴もわかってきて、腹が立ってきたのだ。

結論から言うと、おっさんのたい焼きは尻尾まで餡が入りすぎているのである。お姉さんのたい焼きに馴れ親しんだ自分としては、頭を食べた後の口直し的に尻尾を食べたいのに、おっさんのたい焼きは餡が尻尾よりなせいで尻尾で口直しはできない。しかも尻尾に餡が寄ってるせいで頭の先っちょに餡が届いてないのだ。考えてみればまあ当然なのだが、これはもう混沌である。

そういう特徴があると分かっているからといって自分は尻尾から食べたりはしたくない。パリパリの尻尾だからこそ口直しとしての役割を全うするというものだと、自分はお姉さんに教えられている。生理的にもおっさんのたい焼きよりお姉さんのたい焼きの方が食べたいので、早く戻ってきてほしいと願う。