読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

蛇の背中

人参の色と黒人の肌の色の中間のような色の地面が広がってる。地平線のようなものは見えるが、俺の目がおかしくなってるわけでなければその先にも地面は続いているようだ。俺の記憶にある地球は球形だったが、ここは筒状なのだろうか、蛇のように伸びていっているんだと思う。蛇が伸びている方向に歩いていくのは気が遠くなってしまうが、蛇の断面の円に沿うように歩いていくのも相当時間がかかると思う。ここは形こそ蛇のように見えるかが、そもそもが広漠な大地なのだ。海や川や、たとえば建物が視界にあれば俺はなにも考えずにそっちへ歩いていくことができただろう。しかし、今の俺に提示されている選択肢は蛇の断面の円上を回って行くことか、蛇の頭か尻尾を探しに行くことなのである。それが何か意味を持つ行動なのか、とても俺には判断できない。判断するにも用意されている材料が少なすぎるのだ。俺が今いる場所が背中なら、お腹の側に何かあるかを確認しに行くことが手っ取り早いのだろうけど、そこに何もないことを確認してしまったら俺の目の前に広がる砂漠の広さは何倍にも広がってしまうような気がしてならない。今現在俺の身に迫っている危機こそないが、かといって何か希望があるわけでもない。となると、蛇のお腹に広がる色鮮やかで入り組んだ世界を夢想しながら蛇の頭を目指して背中を歩くのが、俺にとっては最善の選択なのではないだろうかと思えてくる。どのみち俺はここにいつまでも留まっていられるわけではないのだ。なにかモチベーションを作り出し歩を進めるしかないのだから、一歩目を踏み出す理由を思いついてしまった俺に残された選択肢はきっと、一歩目を踏み出すことしかないんじゃないだろうかと思う。現に踏み出すことを最終決定するより先に、俺の足は脳が決めた「前」に向かって歩き始めているじゃないか。俺が次に何かを考えるべきなのはきっと、この足が何か理由を求めてきた時なんじゃないだろうかと、今の俺はなんとなく思う。