ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

おとといの夢

親戚の女の子は何かの病気らしい。確かに色白で病弱そうな風貌だが、しゃべれば元気だし、辛そうな表情をしているところなんかも見たことがない。

俺はその女の子の世話をよく任される。女の子の言うことを基本的に聞くから女の子に割と気に入られていることが理由だと思う。あとこれは俺の勝手な予想だが、俺が一切彼女に同情していないのことも彼女的には楽なんじゃないだろうか。でも俺は周りが気を使いすぎだと逆に思う。何も知らずにこの女の子を見て、可哀想だなんて思うだろうか?こいつがなんの病気かは知らないけど、いつもボーッとしているじゃないか。

今日も俺は女の子に頼まれて森の中みたいな道をドライブしている。家にいると辛いけど、風を浴びていると楽なんだそうだ。家でじっとしていると熱い妖精がどんどん集まってきて体にまとわりついてきて、熱帯夜みたいな居心地の悪さが続くらしい。車に乗って森林浴をすれば、熱い妖精も風で飛んで行って、ヒンヤリ気持ちいいとのことだ。

俺はそんな話を聞いていて、どう解釈したらいいかよくわからないが、まあホントにそんな状態なのだとしたら嫌だろうなとは思う。車に乗せて窓から入って来る風を顔で受けているだけでいいなら、俺は運転するだけだし別に断る理由もない。

ドライブの折り返し地点もすぎて帰路につきはじめたとき、後部座席が静かなことに気付いた。後ろを見ると寝てしまったようだ。もう風を浴びなくてもいいのだろうか。せっかくこれからまだまだ浴びられるのに。

熟睡しているので彼女を抱えて両親のところへ預けて俺もその日は帰ったのだけど、翌日聞いたらどうやら俺の車の中で息を引き取っていたらしい。まだ若いのにあんな感じで死ぬなんて、人間っていうのは俺が思っていた何倍も不思議な生き物なんだな。と、俺は思った。それと同時に少し優しく甘やかしすぎたなと、彼女にしてやられた感じがして、俺は少し悔しかった。