ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

俺は死体を背負って歩き回っている。この辺りはすっかり開発が進んでいて、地面が露出しているところがほとんどなく、墓を作ってやれないのだ。

一度歩道と車道の間の植え込みに埋めようとしたら、婦警に取り囲まれたことがある。「公共の場所に死体を埋めてはいけない」というだけなら分かるが、あいつら「その死体は警察で引き取って丁重に弔ってやる」とまで言ってくるもんだから、俺も頭にくるってもんだ。まあ埋めちゃいけないっていうわがままは聞いてやる。女がそういう生き物だってことは、こっちも多少は理解しているつもりだ。

しかし俺は今途方に暮れている。今では川底までコンクリートで固められているのか。この川は海まで行っているから、ここに死体を放って念仏を唱えてもいいのだが、まさか海の底までコンクリートで固められていないだろうな。