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ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

インザ夢

俺はついに自分のやるべきことを見つけた。小屋を建てるのだ。裏山の踊り場。ひっそりと地面から剥き出しになったこの世界の肉。これはおそらく俺自身であり、これを俺自身で祀るのだ。土が肉を覆っていると凡人は思うだろうが、この場合土が肉に覆われていると思った方が適切だろう。俺はそれが剥き出しになってしまっている所を、散歩していたら偶然見つけてしまったのだ。土から突出してしまい、雨風に晒されてカチカチになっているが、俺には分かる。これは俺自身であり、世界の正体なのだ。見つけてしまったからには雨曝しにはしておけない。かと言って土を被せてあるべき状態に戻すというのもなにやら忍びない。小屋など作ったこともないが、冬が来てここに来れなくなる前に設えなければならない。俺のことを怠け者だと笑う村のやつらは、俺が急にあくせく動き出して驚くだろうな。しかし怠け者だと勝手に決めつけるアホにはこの高尚な行いは理解できぬだろう。俺は自分のやるべきことを理解していて、この好機がいずれ訪れることもきっと心のどこかで察知していたのだ。それにしても、心のなんと晴れ渡ったことであろうか。心を覆う肉、それを覆う世界、それはまた肉で覆われていて、その更に外側もまた俺だったとは。そう思うと尚更、この世界というのは不思議なものだ。俺は世界のおおまかな正体を知れただけで、世界の構造や原理は何1つ理解できていないではないか。しかしそれはまた、この世界の複雑さが俺自身の複雑さということでもある。それを理解することがこんなに気分が晴れ渡ることだなんて、村のやつらには一生かかっても到底理解の及ばないことなんだろうな。そう思うとやはり気分は悪くなく、村に帰る俺の顔は自然とほころぶのであった。