ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

 夜の7時すぎ、俺は友人Aの部屋に着いた。一人暮らしのAが引っ越すらしく、部屋の片付けの手伝いを頼まれたのである。友人Bも頼まれたらしく、先にAの部屋で作業をしている。とりあえず物という物を一つの部屋にまとめる作業をしているらしい。俺も早速その手伝いに加わった。

 物置に近い状態になっている部屋があり、その部屋と物を並べている部屋を繋いでいる廊下がある。その廊下には窓があり、窓の外は崖になっている。崖の向こうには民家はないが、野球場があり、草野球のナイトゲームをしているため明るい。そのさらに奥は山のようだ。

 俺とAとBは何往復かして、物置部屋も大方全容が明らかになってきた。1つ分かったことがあって、暖房器具が妙に多いのだ。そのことを軽い調子でAに言うと、Aは照れ臭そうになにか言っていたが、聞き取れなかった。一人暮らしを始める前のAの自室にほとんど暖房器具がなかったことを、俺は思い出したが、そのことが関係あるかどうかはわからない。