ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

幻想

家裁判

私ね、こんな風に電車の窓から外を見てると信じられないな〜って思うんですよ。この家並み全てに持ち主がいて、これを建てた人たちがいるんですよね。信じられないな〜って。 いくら私が信じられないって思ってもこうして証拠は並んでるんですけどね。そうな…

満月

満月の夜は脱皮する。古い皮膚が邪魔でしかたない。張り詰める古い皮膚。ところどころ隙間から新しい皮膚が見えてる。そういうところに限って痒い。しかし搔けない。掻くとボロボロと古い皮膚が散らかって不潔なのだ。あくまで自然に、服を脱ぐように剥がせ…

孤独の希求

僕は孤独を求めているのかもしれない。 僕はこの家で最初に生まれてきた。自我が発生する前に既に妹がいた。それから少ししたら妹が、またとう少し経ったら弟も産まれた。弟の名前をつけたのは僕だ。その情景もハッキリと覚えている。 いつの時代も家族がい…

スピーチ

私のように世の中に対して厳しい視線を送る人間がなぜこのような体型をしているか。要するに、自分を律することができていないのではないかという疑問がごく一部の世論として存在するようなので、本日はそれについて考察しお答えしたいと思う。 考察という表…

グラグラ

目覚めると僕はまず、酷い頭痛と倦怠感の只中に自分がいることに気が付いた。「お前は昨日不良に袋叩きにされて気を失ったんだよ。」と事情を知っている風の誰かに言われたなら今の僕はすんなりと信じてしまうだろう。頭はガンガンというかジンジンというか…

cnpk

本屋で僕の彼女に出会った。彼女は僕がいるのに気付いてもいないのに優雅で、僕の知らない本を買っていた。彼女は僕と会っている時となんら変わらない。その事実が僕をこんなにも打ちのめしている現実に驚いているのもまた僕だった。僕は彼女といる時間を、…

デイリー

「おはようばあちゃん、どう?体調。よくなった?」 「おあいにくさま。この通りすっかりよくなったよ。」 「よかったね。それだったら今日のお友達との会にも行けるじゃん。」 「前もって『いけないかもしれない』とは伝えてあるからね。治ったって言ったら…

暑い夢

チョロQを引っ張りすぎると、どういう原理かは分からないけどカチカチと鳴り始める。大きいチョロQがあったらこんな音が鳴るだろうなというようなカチカチ音が、日常生活において時折聞こえる。音までの距離はまちまちだし、時間的な長さもまちまちだ。 果た…

死に方もインド的

照りつける日差しだけは一人前に熱くなってきた。新しい畑の段取りをボチボチ始めなければいけなくて、正直に言うとダルい。日差しに比べたら風はまだ涼しい感じもするので、今のうちに段取りした方がいい事は確かなのだろう。もたもたしていたらそのうち風…

ラーメン屋

先週彼女とデートしてたらさあ、まあその日は軽くメシ食っただけだったんだけどさ、なんか唐突に「そういえば私他にも男できたから、あんたも浮気していいよ」とか言い出しやがったのよ。信じられるか?「は?」って話だよな?お前それ、それだったら浮気相…

蛇の背中

人参の色と黒人の肌の色の中間のような色の地面が広がってる。地平線のようなものは見えるが、俺の目がおかしくなってるわけでなければその先にも地面は続いているようだ。俺の記憶にある地球は球形だったが、ここは筒状なのだろうか、蛇のように伸びていっ…

公務員

そのお金はあげない方がいい。自分で稼げるようにしてあげた方がいいって。作業に対する報酬だということは分かるが、そうだとしたらこれっきりにした方がいいよ。俺が君だったらそうするね。それが彼のためだと思うからね。よそで稼ぐのだって、そこまで大…

掌に太陽

今日はついに150度まで平気になった。人間の身体というものは実によくできている。こうして訓練することで、耐えられる熱の量は少しずつだが上昇していくのだ。私は来たる刻に備え、最大限の温度で耐えられるように掌を鍛え続け、ついにここまで来た。こうい…

バランス

おっさんは単純だ。そのおっさんがどんなおっさんかすぐ分かるように出来ている。そのおっさんの単純性の原因は、逆を考えることによってすぐに分かる。複雑なおっさんはみっともないのだ。 葛藤したり、停滞したり、見失ったりするのは遅くても30までしか許…

葬式饅頭

俺は共犯者を待っている。厳密に言うと俺が待っているのは首謀者で、俺が共犯者なのだろうか。とにかくそいつの指示を受けて俺は待っている。山のふもとの小さな市営住宅地、老女が1人で暮らす小屋のようなその家の脇の車を停め、首謀者が来るのを待っている…

創価学会

今日俺は友達の家に遊ぶために彼の暮らす団地へやってきた。彼は海外から引っ越してきたのだが、この団地には友達がたくさんいるらしい。小学校の頃転校してきたんだけど、中学校で新しく知り合った人たちの中にも知り合いが何人かいるらしかった。ある時「…

パン屋の店長

「気持ちを込めて作っても美味しいパンを作れるとは限らない。」あるパン屋さんの店長が学んだ教訓がそれだった。店長は最初、志を持ってパン屋を開店した。しかし経営は簡単に行かず、紆余曲折を経てパン屋をどうにか経営していける状態まで持ってきたのだ…

風末

僕は地上で風が最後に着く場所で、辿り着くゴミを分別して暮らしている。世の中にどんな仕事があるのかいまいちよく知らないけど、こんなに僕に合っていて楽な仕事はないんじゃないかと日々思いながら風を浴びている。 僕から見える風景だけ見ると、もしかし…

俺は死体を背負って歩き回っている。この辺りはすっかり開発が進んでいて、地面が露出しているところがほとんどなく、墓を作ってやれないのだ。 一度歩道と車道の間の植え込みに埋めようとしたら、婦警に取り囲まれたことがある。「公共の場所に死体を埋めて…

記憶

思い出した方がアレなことはアレにとってアレである。誰にとってアレなのか。未来のアレか。それとも他人なのか。アレは意識的にアレしているのか、それともアレか。無意識にアレしているにせよ、意図せずアレすることはアレだ。それをアレしないようにアレ…

夢考

夢から醒めた瞬間、起きて理性と夢が混濁している状態のとき、夢という物の存在意義が明確に分かった日があった。人間がなぜ夢を見るか、夢と人間がどんな影響を及ぼしあっているか、それに加えて人間が夢に関してどんな勘違いをしているかまでハッキリ分か…

ほらほらほら

この虚無、欠落、余白はなんなんだろう。なにもしなければ何も生まれないはずではないのだろうか。人間の心は真空だと思っていたが(なぜそう思っていたのだろうか?)、ビッグバンが起きる予兆のように、何もない空間になにか起こりそうな、思わせぶりなこの…

遠心力

自分は最近、祖母の手伝いをする事がメインの仕事になっている。祖母は働くのが好きで、1つ終わるとすぐ次の仕事を探し当ててくる。終わってから見つけ出すのはまだ良い方で、1つの仕事を言い渡されてからすぐに、別の動作を求められることもしばしばある…

批准ポエム

生まれることに批准した覚えもないし、生きていくことに批准した覚えもない。こんな社会システムに批准した覚えもないし、社会に評価を受けることに批准した覚えもない。 世の中は他人を納得させることにもっと腐心しなければならない。自分のやり方に批准し…

しねま

人生の昇華とはなんだろう。自己は自分の人生を鑑賞している、たいていの場合は唯一の観客だ。自分が退屈する展開には手を抜いてもいいんじゃないだろうか。 劇の終わりは単純に死だろうが、いつ終わってもいいようにしておくべきだからだ。終わり方は自分で…

この後書く事は決まっています

また世の中が近づいてきてる気配がする。自分は友達を見つけたりして生きてきたけど、社会で友達は代謝されるべきものではないらしい。さっきからiPhoneの余計なお世話の予測変換がウザい。社会は頭上にあり脈動していた。畑に堆肥をまき耕したが、ここには…