ほかほかしっとり

思ったよりほかほか

非医者の不養生

自分は自分で思っていた以上にガタが来ているのかもしれないと最近思う。高校生くらいの頃からそもそも健康診断が嫌いだった。なぜなら自分が健康なはずがないからだ。病院も嫌いだ。どうせ完治したってまた行かなきゃならなくなるからだ。医学の知識なんて1byteも持ってないから分からないが、今健康診断をしたらひょっとしたら「なんでこんなになるまで放っておいたんだ」と医者に言われるかもしれない。もしそんな風に医者を驚かすことができたなら、少しは今まで病院に行かずに過ごしてきた甲斐がある。しかし現段階ではまだそうなる確率はそんなに高くないと思う。医学の知識はないが、まあまあ生きているからだ。

もし医者の度肝を抜くことに成功して、「なんでこんなになるまで放っておいたんだ」と言われたらなんと答えようかさっきまで考えていた。あまり気を衒ってもイタいだけなので、「みんなこんな感じで生きていると思ってた」と飄々と答えるのがベストなのではないかと自分の中でひとまず答えが出た。

グラグラ

目覚めると僕はまず、酷い頭痛と倦怠感の只中に自分がいることに気が付いた。「お前は昨日不良に袋叩きにされて気を失ったんだよ。」と事情を知っている風の誰かに言われたなら今の僕はすんなりと信じてしまうだろう。頭はガンガンというかジンジンというか、そんな感じがするし、どことは特定できないが体も鈍痛がするような気がするし、少し寝小便でもしてしまったのだろうか、局部周辺にも嫌な違和感がある。とりあえず水をコップ一杯飲んだが、ただの水道水がこんなに美味しく感じることがこれからの人生であるのだろうかというくらい美味しかった。

いろいろと僕もやらなきゃいけないことはあるのだけれど、このような状態では仕方がない。今日は一日かけて病院に行くこととしよう。

「おいおい兄ちゃん、しっかりしてくれよ。」気付けば次の瞬間、僕はバスの運転手に怒られていた。病院へ行く唯一の手段であるバスにフラフラと乗った僕は、どうやら財布を忘れていたようだ。

「今回は大目に見るけどよ。その代わりにこの薬を中条のじいさんに届けてくれねえか。そしたらバイト代ってことで、運賃は建て替えといてやるよ。」

中条のじいさんの家はこのバスでは通れないような狭い道の先にある。歩いてあそこまで行くとなると1時間近くはかかるが、僕に断るという選択肢は残されていないのだろう。病院は今日は諦めるしかないようだ。僕は薬を受け取るとバスを降りてトボトボと歩き始めた。寝起きのときよりは体調もいいし、この分なら問題なくミッションはこなせそうである。

「早くお前結婚でもして、お前のばあちゃん安心させてやってくれや。そうでもしないとあのばあちゃん、おちおちあの世にも行けないじゃねえか。」

気付けば僕は中条のじいさんに昼飯を振舞われていた。中条のじいさんはとても薬がいるとは思えないような饒舌ぶりで、さっきから笑っている。次はそろそろ自分の若い頃の武勇伝でも聞かされるのではないだろうか。とはいえ昼ごはん代も浮いたわけだし、無駄話に付き合うくらいなら僕もやぶさかではない。

「それはそうと駄賃やるから、ちょっと裏の林の手入れしてくんねえか。」

気付けば僕は村の林業組合の人たちの飲み会に紛れ込んでいた。

「中条のじいさんも無茶言うよなあ。お前もボーッとしてるようで大変だな。ほら。遠慮せずに飲めよ。飯もあるから、食ってけ食ってけ。」

気付けば僕は朝も乗ったバスから降りて、ガードレールの向こう側の崖の下にさっき食べた物や飲んだ酒を吐いていた。今日もなんやかんやで疲れたな。あとはもうベッドに潜り込んで寝ることしか僕には考えられない。

プリン

ネットを見ていると不倫の話題をよく見かけるが、その頭の悪さはすごいと思う。自分に縁のない世界だからというのもあるけど、すごい馬鹿な世界に見える。いい歳したおじさんおばさんが恋愛で頭が沸騰しちゃっているのは非常に滑稽でみっともない。何か趣味といえるものの1つでもないのだろうか。

自分が大好きなマズローの欲求段階を思い出すとまあ不倫のメカニズムもなんとなく分からないでもないが、承認欲を満足させる為だかより異性として質の高い相手を求めるという衝動は自分からすると昆虫レベルの衝動に見えてしまう。よりよい遺伝子を持ってそうな雰囲気を、より高度に演出している相手を求めたがっているのだろうから、理屈の上では昆虫レベルといって差し支えないとも思える。

不倫と称して頭の悪い享楽に身を置く人たちは世の中の謎を解き明かしたり、自分の中の何かを紐解いたり、逆にそれらをなんらかの形に昇華したり、そういう欲求はどこに置いてきてしまったのだろうか。そう思うと自分は世の中の頭の悪さに絶望感を覚えることを避けられない。この絶望は不倫の素晴らしさを身を呈して教えてくれる人妻が現れるまで払拭されないと思う。

米噛み

最近、右の鼻の穴の中がおかしい。違和感を感じて鼻をかむと血が固まった塊が出てきたりする。左からは出てこずに、右からのみ出てくる。それに加えて最近体調でおかしいのが、左のコメカミが時折痛くなるのだ。車から降りたときとか、外に出た瞬間に結構な痛みが走る。最近この2つの異常が自分を頻繁に襲ってくる。

これらの体調異常が同時に起き始めたことを考えると、自分の左こめかみが内側から剥がれ始めていることはもうほぼ疑う余地がないと思う。左が剥がれてなぜ右から出てくるのかは分からないが、まあきっと人体はそういう仕組みになっているんだろう。

例えば左こめかみだけが異常に痛くなったり、ただひたすらに右鼻から血塊が出てきたりしたなら病院に駆け込んだかもしれないが、この場合は原因と結果の因果関係がハッキリ分かっているので、その必要はないと思う。そういう意味では同時に異常が起き始めてくれてよかったと思う。

人のせいにするな

自分は責任転嫁が大好きな人間なんですが、その要因の1つに幼少期の教育があったと思います。自分は物心つくかつかないかの頃から親、特に母親から「人のせいにするな」と口酸っぱく言われてきました。自分はなぜかと考えるまでもなく「人のせいにする」ことを悪いことだと教え込まれ、それを自明の理として幼少期を過ごしてきました。しかし子供の頃は友達関係においても理不尽なことが多く、実際に「人のせい」なことも頻繁にあったのですが、それを親に相談したりすることは「人のせいにする」ことでありルール違反です。そしてうっかり人のせいにしてしまった際には、その都度ちゃんと親から「人のせいにするな」という訓示を授かり続けてきました。

しかし自分にも人並みに反抗期は訪れるわけであり、そうなった時に過剰な「人のせい」論に矛先が向かわないわけもなく、自分はその理論を悪用するようになりました。

「人のせい」論は逆手にとってみれば万能で、「人のせいにする」ことが絶対悪である限り(少なくともそう教え込まれた自分にとっては)「俺に「人のせいにするな」と言っている人間は俺のせいにしている。したがってその行為自体が「人のせいにする」行為であり、そんな不届きな人間の言うことは聞くに値しない」という暴論が成立してしまい、反抗期の自分はすっかり「人のせい」論原理主義の過激派に成り果ててしまいました。

結局「人のせいにする」ことが絶対悪だなんてことはなく、その理屈の論拠は「自分の母親に言い聞かされた」ということだけです。こんな風に言うとまともな人は「母親のせいにしている」と思うのでしょうか。原理主義過激派の自分には客観的な判断ができません。

東北は陰湿

自分が大学受験の後期試験を受けるために東北に行った日、あの大地震が起きた。当然な気もするが予約していたホテルからは「人を泊められる状態ではない」と断られ、その日は大学の敷地で野宿した。次の日が試験の当日だったのだが、試験の時間まで暇だったので自分は近所をうろちょろしてみることにした。

倒壊しているような建物は見当たらないが信号は止まり、警察の人?が信号の代わりの役目を果たしていた。コンビニはどこも長蛇の列ができていた。みんな食料の買いだめがしたかったのだろう。自分は時間がつぶしたかっただけなのでとりあえずブックオフに入った。

しばらくブックオフで立ち読みしているとどこからか「臭くね?」「臭いよね」という数人のヒソヒソ話が聞こえてきた。無視していたのだがあまりに耳障りなので声の発生源を探すと、野球部っぽい高校生が4、5人でヒソヒソ集まってニヤニヤ笑いあっていた。自分が見にきたことに気付くとその集団は逃げていった。「これはもしかして」と思い、陳列棚を見ながらという感じでその集団の方に近付くと彼らはどんどん逃げる。そこで自分は「やっぱり俺のことを言っていたのか」と気が付いた。

前日に大地震があり街が混乱気味で、ラジオからはその被害の大きさを知らせるニュースが止まらずに伝えられている中、そんなイジメのような悪趣味な遊びに興じる神経というのは一体どういうものなのだろうか。偏見もあるかもしれないが、自分は初めて踏み入れた東北という土地で強烈な衝撃を受けた。自分の地元ではまずこんな体験は出来ない。

確かに前日は野宿だったので多少は不潔だったかもしれないが、他人を不快にさせるほど臭くなっていたとは思えない。当の高校生たちも迷惑がってるというよりクスクス笑っていたし、悪趣味な遊びにしか見えなかった。自分は不快な思いとそこそこのカルチャーショックを抱えて店を出た。試験は滞りなく済ませられたが、東北に対する最悪な印象は自分の中で一生残っていると思う。

夢昨日の

1ターン目:「ドロー。なになに、森の中にあるオアシス的な絵の土地か。これは見たことないから効果を読まないとな。『(青),T:マナプールに(青)(青)を加える。(白),T:マナプールに(青)(緑)を加える。(緑).T:マナプールに(緑)(◇)(◇)を加える。』か……。つまりこれは、どういうことだ?これ1つじゃマナ出せないから初手ではないにせよ、どういう動きをするのかサッパリ分からないぞ。1つ目から読み解いていくと、青があれば青になる。白があればその白を青緑にできる。緑があれば、無色の2マナ土地になるのか…。最後はまあ強いけど、ほかの2つ、特に白があるときの挙動のクセがすごいな。そして自分の手札にある土地が出すマナはよりによって無色と白か……。まあ初手は平地で仕方ないとして、これ出したらどうなるのかが未だによくわからないぞ。というか手札に(白)(1)がいるけど、2ターン目にこの変な土地出したらこいつ出せないのかよ。まあとりあえず平地だしてターン終了するかな。

………

1ターン目:「ドロー。どれどれ、なるほどこのデッキはラクドスカラーっぽいな…………。」